日本の財政状況は刻々と悪化している、そう主張する人がいます。いや日本の財政状況はそこまで悪くはない、そう主張する人もいます。実際のところどうなのでしょうか？ また日本の財政状況が悪化しているとするならそれに対して政治は何が出来るのでしょうか？
日本の財政は本当に破綻するのでしょうか
近年の日本は財政状況が悪化し、財政破綻が心配されています。日本の財政はこのままだと破綻するのでしょうか。
結論から言うとその通りです。このままいくと遅かれ早かれそうなります。
社会保障費の増大が財政状況を年々悪化させており、それに対する抜本的対策も取られない以上いずれは国債の買い手がつかなくなったり、国債の金利が上がって国債の金利支払いが滞るようになり最終的には破綻します。
このような物の見方に反論する人もいます。
日本の国債はほとんどが国内で買われているから、（つまり外国から借金していないから）破綻することはない、あるいは日本の借金（債務）は1000兆円以上あるが、資産も数百兆円あるので差し引きで考えればそこまで日本の借金は多くないと。
これはある面で正しいです。ただしそれは「今はそうなっている」だけにすぎません。
このまま社会保障費が増大すれば（何もしなくても増大するわけですが）どんどん国債などの借金が増えていくわけですが、このまま国の借金が2000兆円になっても、国内だけで国債を消化できるのでしょうか。国の借金が2000兆円になる頃には、資産の総額も千数百兆円になっているのでしょうか。
何もしなければ十数年後には国の借金は2000兆円を超えます。
その時日本国の資産は1000兆円増えているのか、おびただしい量の国債を国内だけで消化できるのか、そう考えれば将来日本が財政破綻する確率は著しく高いと思います。
ではどうすればいいのでしょうか。
財政破綻を防ぐために政治は何が出来るか。
その分国力を増大させて経済成長すれば解決します。
しかし、経済を成長させるという事は政治の力を超えているので、（政治家が今年はＧＤＰを5%上げようとしたらできるかと言うと出来ませんから）ここでは除外します。
少子高齢化を解決して人口バランスを適正化すれば何とかなるかもしれませんが、これも同様に政治の力を超えているので除外します。
ではどうするべきか、答えは2つしかありません。
増税して歳入を増やすか、社会保障費等を圧縮して歳出を減らすかです。
しかし実はこの2つ、どちらをやっても上手くいきません。
まず増税案を考えて見ましょう。
増税するなら、所得税と法人税を上げるか、それとも消費税を上げるかの2択になります。
所得税と法人税を上げるのは悪くはありません。
高所得者や企業からこれ以上税金を取ると、海外に逃げてしまうと言う人がいますが、数％上げる程度なら逃げられることはありません。なぜなら人も企業も税金額だけで居住先を決めているわけではないからです。
それでも数％上げれば逃げる高所得者や企業もいるでしょうが、それで逃げられるのなら彼らにとって日本はその程度の存在だったということです。そんな状況なら遅かれ早かれ逃げられるでしょう。
ただ、物には限度があります。
20％増税するとなったら、さすがに逃げる企業や高所得者が相次ぐでしょう。なので所得税や法人税を上げる余地はそう多くなく、これだけでは財政問題は解決できません。
では消費税はどうでしょうか。
今までの日本を見ると、消費税を上げれば上げるほど景気が悪くなっています。ただでさえ日本経済は脆弱なのに、ここでどっと消費税を上げれば、とどめの一撃になることでしょう。
消費税の逆進性も考えると、少し上げる余地はあるにしても、それ以上あげるのは無理でしょう。
そうなると歳出を削減するしかありません。しかし今の日本の歳出の大半は社会保障費であり、その社会保障費の大半は医療と年金、介護です。
ここは人間の生存に直決するので、削るといっても限度があります。よってここを削るといっても少ししか削れないでしょう。
つまり所得・法人税も消費税も社会保障費も、上げる（下げる）余地は少ししかありません。どこかに財政のしわ寄せを押し付ける事は出来ないのです。
どこかひとつがを大きく上げたり、下げたりできないとしたら、所得税も法人税も消費税も全てを少しずつ上げて、社会保障費から防衛費まで全ての歳出を少しずつ削るしかありません。
これをやっても財政破綻対策の特効薬にはなりませんが、それでも今の日本の政治に打てる手はこの方法しかないと思います。
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