合併した政党の行く末と現状を変える投票

民主党と維新の党が合併することになったが、合併しようとする政党の成り立ちやこれまでの経緯を考え、新しい政党の行く末を考えるとあまり期待できない。それでも有権者は現状を変えることができる。それはどういうことか本文で取り上げる。

議員の離合集散や合従連衡

よく選挙前には政党間で議員の離合集散や合従連衡(がっしょうれんこう)が進む。年末には新党を結成することも多い。
それは政治家にならなければ政策を実行する以前で門前払いされるからだ。政党助成金目当てというのもあたっている。

政党名に傷や泥がついたから新党名にして汚名を晴らそうとしても覚束ないもので、実際うまくいきそうにないと考えている人や期待しない人が多い。
名は体を表すと言うが、信用を失っている政党が名前を変えたところで、信頼されるとは到底思えない。
必ず返すと言って借金をした者が返さず、また借金を申し込んで貸すだろうか。常識的に考えるなら貸すわけはない。
合併すると伝えられてからは党名を変えずに先送りして党名がそのままで一新されなければ、それだけで期待倒れになってしまうものである。

連立政権を狙う政党合併

複数の政党が政権を担う連立政権の場合は、同じ党員ではないので、全ての政策に賛同しなくてもいいし、考えが違っていてよい。
たとえば自民党と公明党とでは憲法改正に関する意見が違う。共闘でも同様だ。

先日民主党が維新の党と合併することで決まったという報道があった。合併を装っているが、出戻りではないかとネット上で取り上げられていた。
民主党から離党し、平成27年12月に再選された松野頼久氏が現在の維新の党の代表者である。
維新の党の国会議員は橋下徹氏のネームバリューを利用して国会議員になった人が多いのではないか。これは地方議員にも言える。
おおさか維新の会との関係がこじれたのは記憶に新しいことである。離党した議員が再び同じ党員になることは珍しくないが、なんだか腑に落ちない思いを抱いている人は多いのではないか。

それで党名はどうなるのか注目されている。ネット上では野次馬的にネーミングが話題になっていた。ふざけた名前が多いので、ここでは書かないでおく。
新党名を公募するとも伝えられるが、民主党に拘っている議員も多いらしい。実際ネット上の政治家のSNSには民主党の名前に固執する議員による抵抗があったとの記述が見られた。

代表者として有権者に選ばれた政治家にとって重要なのは実行する政策である。
与党に敵対する野党が政権を担うために数の論理で過半数を集めるのは当然のことだ。
それでも安全保障といった重要政策に関して乖離する政党が合併し、存続し続けるかは怪しい。
民主党内では憲法改正や安全保障などの点で意見を異にしているし、違う政党が合体しても完全に政策の一致とはならないだろう。
安保法制反対で共闘するとしても、安全保障に関する政策は重要で、妥協することはできない。
だから、妥協したのか方針転換なのか不明な共産党と今回の新党が選挙協力して当選したとしても、是々非々になるのではないか。
主張などが余りにも乖離するのであれば連立できないから、一線を画することになる。そうなれば連立政権が誕生したとしても短命に終わるのではないかと危惧してしまう。

求めたい有権者の投票行動

有権者にとって投票時に選択肢がないのが一番困ることである。
それでも投票しなければ組織票での得票で議員の顔ぶれは代わり映えしなくて何も変わらないことになるから、現状を変えたいと思うのなら投票するべきである。
もちろん、前提条件がある。政党や候補者のこれまでの経緯や人間性、所属する政党が何なのか知る努力をすることである。
失言や暴言がなかったか、SMクラブに行くのに公金を使っていなかったか、どのような政策をしようとしているのかも知るべきである。

有権者の投票行動で選挙制度の改革や憲法改正、税金の変更などが実現可能になる。よって棄権や白票を投じることなく、投票することを求めたい。

山川啓介

山川啓介

50代前半、独身、男。徳島県阿南市で小さな飲食店を経営し、自治体の委員や専門学校の非常勤講師をしている。安全保障やエネルギー、原発政策などに強い関心をもつ。 

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