選挙結果も左右する?!有権者の心を掴む政治家の演説とは?

  •  2019年02月6日公開

政治家にとっては演説というのは支持率にも関わる重要な要素の一つです。この演説が上手か下手かで、選挙結果に大きな影響を与えます。しかしながら有権者の心をつかむ演説は一筋縄では行かないものです。ここでは選挙時の演説の際に気を付けた方がいいポイントや、参考になる歴代の政治家達の上手い演説の特徴などを紹介します。

技術の問題?政治家の演説が心に刺さらない理由

選挙時の演説では当然、実績がある政治家の方がその言葉の説得力は高いです。しかし、どんなに立派な実績があっても、どんなに崇高な理念を語っても、堅苦しい言葉や、退屈な言い回しでは有権者の心を動かすことはできません。

多くの聴衆を惹きつけるためには、演説の内容だけに限らない話し方の技術が重要になります。人の印象は見た目と話し方で殆ど決まるといわれています。したがって見た目で差をつけにくい選挙演説においては、話し方を洗練することは選挙運動において大きなアドバンテージになります。多くの政治家の演説が心に刺さらないのは、実はこの話し方による部分が大きいと言えます。

例えば消費税率を下げるといった大きな公約を掲げているにも関わらず、自信なさげにボソボソと喋っていては有権者がその政治家を支持する可能性は低くなるでしょう。何故ならばこの場合、掲げる公約の規模に対して政治家本人の積極性が伝わってこないからです。

演説の内容は悪くないのに今一つ支持を得られない政治家には、こういった演説の時の話し方と内容に温度差がある人が多くいます。政治家の持つ雰囲気や所作によって、有権者に与える印象は大きく変わります。ですから話し方のテクニックはしっかりと磨いておく必要があるのです。

また街頭演説では、難しい法律の内容や、細かすぎる事案などは向きません。街頭演説に耳を傾ける有権者は、その多くが通りがかりの人たちです。屋外で立ち聞き程度といった意識の人に対して、集中して話を聞かないと理解できない内容を訴えるのは適切ではありません。

屋内での講演会ならば別です。聴衆は集中して耳を傾けてくれるので、多少難しくても、具体的な情報を発信していくことが大切です。少人数の勉強会などであれば、スライドなどの資料を活用したり、数値などのデータを資料として示して、さらに深い話をするとよいでしょう。

このように、話し方のテクニックに加え、状況に応じた演説内容を使い分けることが大切です。

「つかみ」がない演説では有権者は振り向かない

演説の際には「つかみ」が重要になります。小説などにおいては冒頭のつかみが悪ければ、殆どの人がその後の話を読まないといわれています。これは演説においても同じでつかみが悪ければ、その後の掘り下げた演説を聞いてもらえる可能性は低くなります。

では演説における「つかみ」になりやすいものとはなんでしょうか。それは立候補者が当選した時に、マニフェストなどによって期待される有権者へのメリットです。多くの有権者が政治家に期待するものは、例えば「消費税を下げる」といったことや、「景気回復」といった生活の豊かさに関わる事柄です。

そのため演説のつかみで有権者を引き付けたいのならば、まずは当選した際に有権者に与えられる、そういったメリットについて述べるのが有効といえます。したがって選挙演説をする際にはできるだけ前置きを短くして、有権者へのメリットを先に話すのがいいでしょう。
またこういったメリットを提示する際には、「消費税率の減少」などの演説の核になる重要なワードを繰り返すといった工夫をするとより効果が高くなります。

時間?内容?良い演説に必要な要素とは

いい演説には適度な時間で終わらせる能力や、人をうならせる深い内容などももちろん重要です。しかしながら技術的な面で大事なのは、それらを全て違和感なくこなせるだけの総合力です。

有権者は基本的に政治家には厳しい目線を持っています。例えばどれだけいい政策を多く行ったとしても、一つの政策が失敗しただけで、今まで行ったいい政策がなかったかのように扱われてしまうこともあります。そういった傾向は演説時にも表れやすく、演説における重要な要素のどれか一つが欠けていると、他のいい部分がぼやけてしまう可能性が高いでしょう。

したがって選挙演説を行う際にはどれか一つの要素を完璧にするのではなく、まんべんなく平均点以上を取れるような演説を心がけた方が、結果的に有権者の心をつかめる可能性があります。

とはいえあまりに無難すぎると有権者の印象にも残りにくいです。そのため声に自信がある方は喋りを武器に、身振り手振りに自信がある方はジェスチャーを多めに、といった感じで活かせるところはしっかりと活かしていくといいでしょう。

歴代の演説が上手い政治家から学ぶ!

歴代の政治家には演説が上手い方が多くいます。ここではそういった参考になるような演説をする歴代の政治家二人を紹介します。

一人目は第87・88・89回の内閣総理大臣だった小泉純一郎氏です。小泉純一郎氏の演説は主に、感情がこもっていて有権者に語り掛けるような疑問形が多く、間の取り方が上手いという特徴があります。こういった小泉純一郎氏の演説は非常に理にかなっています。

何故ならば感情を込めることで有権者に本気度を伝えて自分に注目させた後、あえて疑問形を多用し間を設けることで、その疑問形に対して考える時間を与えるという手法をとり、自分の話を聞くように誘導しているからです。したがって演説に感情を載せるのが得意で、演説の内容に注目して欲しいという方は、小泉純一郎氏の演説を参考にするとよいでしょう。

二人目は元大阪市長で弁護士の橋下徹氏です。橋下徹氏の演説の特徴は高い論理性と、自信がみなぎるテンポの速い喋りです。こういった演説は有権者に疑問を挟ませる前に、自分の論理へと人を飲み込みやすいといえます。そのため自信をアピールすることが有利になりやすい選挙に向いた演説方法です。
自分の政策に強い自信があり、政策をアピールしたい人は橋下徹氏の演説を参考にするといいでしょう。

「情熱」こそ重要!有権者は本気を見抜く

演説に必要な要素は多くあります。これまで述べたように、話し方のスキルや「つかみ」といった要素もその中の一つです。しかしながらこれらの要素は全て、話を聞いてもらいやすくするための技術にすぎません。

選挙演説に最も大事な要素というのは立候補者への信頼感とそれを伝えるだけの情熱です。演説というのは、政治家がこれからどういう政策を行っていきたいかを有権者に発信する方法の一つです。しかしながらそれと同時に、有権者に立候補者の人となりを見てもらう場でもあります。

選挙時は、ポスターや選挙公報、チラシなど候補者のイメージを伝える手段として紙の媒体が使われます。しかしながら紙媒体では、候補者の熱量が伝わってきません。直接目で見て、耳で聞くことができる演説は、自らの政治に対する想いを直接伝えることができる数少ない機会です。

どんなに話術が上手くても、スマートすぎる演説は有権者の心には届きません。不器用でも、噛みまくっても、情熱を込めた本気の言葉の方が聴衆の胸を打つものです。

また、限られた選挙期間で、すべてのエリア、すべての有権者に向けて演説を行うのは物理的に不可能です。ゆえに、演説の動画などを撮影し、自らのホームページやSNS、政治情報サイトに動画をアップロードして、より多くの有権者に自分の情熱を伝えることもお勧めします。