生稲晃子さんも参加、働き方改革実現会議で長時間労働は改善する?

2016年の参議院選挙後に発足した安倍内閣では、新たに「働き方改革担当大臣」が設けられました。9月から始まった「働き方改革実現会議」では安倍首相が議長を務め、有識者として女優の生稲晃子さんなどのメンバーが参加。特に社会問題になっている長時間労働に取り組むかどうか、注目を集めています。

働き方改革実現会議で取り上げるテーマとは?

政府の政策「一億総活躍社会の実現」の一環である、働き方改革。日本の働き方に関わるさまざまな問題(パートタイマーなど非正規雇用の賃金格差、少子化、高齢化など)に取り組むために発足したのが「働き方改革実現会議」です。安倍首相が議長となり、塩崎恭久厚生労働大臣と加藤勝信働き方改革担当大臣が議長代理を務めています。民間からも様々な有識者がメンバーとして参加しています。

2016年9月27日に行われた第1回会議では、今後下記のテーマについて検討していくことが決定しました。

  • 1.同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
  • 2.賃金引き上げと労働生産性の向上
  • 3.時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正
  • 4.雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を 固定化させない教育の問題。
  • 5.テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方
  • 6.働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備。
  • 7.高齢者の就業促進
  • 8.病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立
  • 9.外国人材の受入れの問題

引用元:第1回 働き方改革実現会議議事録

仕事と治療との両立という課題もある

私自身、介護と仕事の両立に直面し最終的にフリーランスに転職しました。育児と同じく、介護においても残業ができなくなるという状況が起こります。それまでは夜遅くまでの残業や休日出勤のある職場だったため、仕事の介護の両立に苦しみました。自分なりに業務の効率化を図ってみましたが思うような効果は出ず、企業全体での取り組みが必要だということを痛感しました。

また、育児や介護のほかにも自分の治療との両立という課題もあります。がんなどの難病にかかった場合、長期的な治療をしながら働くことが求められます。治療のために頻繁に休んだり、体調の問題で残業ができなくなるなど、仕事のと両立に苦しむ方もいます。会議の参加メンバーである生稲晃子さんも、約5年にわたり乳がんのため5回の手術を受けながら仕事を続けた経験があるそうです。

長時間労働を是正するためには

日本では、労働基準法により月の時間外労働は45時間までと定められています。しかしながら、いわゆる「36協定」という労使協定を締結することで、事実上時間外労働の上限をなくすこともできる現状にあります。つい最近、広告代理店の女性社員が自殺し、月100時間以上の残業を課せられていたことなどを理由に過労死として労災認定が下りたケースがありました。この件は新聞やテレビで大きく報道され、世間の関心が高いことが伺えます。

今回「働き方改革実現会議」において、この「36協定」の見直しが進むかどうか?という点が、この会議が大きく注目される理由のひとつです。

動向をチェックすることが重要

「36協定」の見直しについては、まだこの会議における方向性ははっきりしていません(2016年10月時点)。この会議では他にも様々なテーマがあるため、本当に結論が出るのかという疑問の声も上がっています。

しかし、その一方で、労働基準法の改正に賛同する署名を集め、この会議の議長である安倍首相へ渡すという活動を行っているプロジェクトもあります。長時間労働など働き方に関する問題は、私自身もそうでしたが今後誰もが直面する可能性があります。「働き方改革実現会議」など政府の動向をできるだけチェックしてきたいところです。

渡辺トオル

渡辺トオル

40代の男性、神奈川県横浜市在住です。通信系企業の社員でしたが、両親の介護をきっかけにIT関連のフリーランスに転身しました。