選挙運動において、ポスターやビラ、Webサイト、SNSなど有権者に政策をアピール手段はさまざまあります。選挙公報もそのひとつです。選挙公報はどの候補者にも等しくスペースが与えられ、そこに政策やプロフィールなどを掲載することができます。
有権者が選挙前に情報収集する際に、参考としているメディアでも、Webサイトと同率で1位なのが選挙公報です(政くらべ調べ)。
そこで今回は、選挙公報に絞った上で、どんな決まりがあるのか、またどんなデザインがいいのか、デザインがどのくらい重要であるのかなどを考えていきましょう。
そもそも選挙公報の役割は、有権者が投票するために必要な情報を提供するために、政策などを記載するものです。以前は紙媒体のみで、公費で刷られ、有権者に配るという形を取っていましたが、東日本大震災を機に変化がありました。
それまで改ざんがされる可能性があるという理由から認められてこなかった、選挙公報のインターネット上の公開が認められたのです。被災三県の避難者に選挙公報を届けることが難しかったため、特例措置として認められたのがきっかけでした。その後にネット上の改ざん対策が講じられ、2012年12月の衆院選から解禁になりました。
新聞折込やポスティングも!選挙公報の配布方法
選挙公報は基本的に選挙管理委員会が全戸配布することが前提となっています。基本的には新聞折込みによる各家庭へ配布されます。しかし、以前よりも新聞を取っている家庭が少なくなったため、各家庭の郵便受け等に直接投函するポスティングも行います。
また、郵送を希望する人には役所から郵送してくれる自治体もあります。
選挙期間中は役所内や出張所などに置かれており、選挙公報は誰もが手にすることができます。
また、担当する選挙管理委員会のホームページには主にPDF形式で選挙公報が掲載されておりインターネット上でも選挙公報を見ることができます。
選挙公報のサイズや内容の規定は?
選挙公報は各自治体が条例で定める選挙公報発行規定によって定められており、すべての選挙で同じ規格の選挙公報が発行されるというわけではありません。しかし、掲載すべき内容に大きな違いはありません。
公職選挙法第167条では選挙公報に載せるべき項目として、氏名、経歴、政見等を掲載することが規定されています。これに候補者の顔写真が加わります。
政見というのは、あいまいで特に内容の規定はありませんが、政策や政治理念などを書く人が多いようです。
選挙公報のサイズは、新聞折込を想定している都合上、新聞と同じ大きさであるブランケット版にするのが一般的です。各候補者に与えられるスペースは、衆議院選挙の小選挙区と参議院選挙の選挙区、都道府県知事選挙の候補者は新聞紙の1/4となっています。
衆議院と参議院の比例代表の場合は、各政党が擁立する立候補者の数で異なります。参議院は25人以上、衆議院は28人以上の候補者が立候補すると、新聞紙1ページ分の掲載スペースが確保されます。人数によって、3/4、2/4、1/4と掲載スペースは小さくなります。
地方議員や市区町村長選挙の場合は、各自治体の条例で定められています。ただ、いずれもどの候補者も同じ面積が与えられます。
原稿は各選管が用意している原稿用紙に記載します。法律や条例が古いものなので、アナログ的な版下原稿と呼ばれる形式になっています。さすがに手書きする人はほとんどいませんが、パソコンなどで制作したものを、一度紙に出力し、原稿用紙に貼り付ける形で提出します。
選挙公報を読んでもらうには、目につく文字を際立たせる!
選挙公報を読んで投票先を決める有権者は多く、その記載内容はとても重要です。しかし重要なのは内容だけではありません。選挙公報は、1枚の紙面に複数の候補者が並んで掲載されます。自分の政策をしっかりと読んでもらうためには、まず目に留まらなければなりません。
最初の第一印象が重要です。これは選挙公報に限った話ではなく、人物でいえば洋服や身だしなみ、料理なども盛り付けの良し悪しで味わった時の印象が変わります。以下にかんたんなポイントをお示しします。
文字の大中小をしっかりと分ける
選挙公報に目を通す有権者全員が、選挙公報を隅から隅まで読んでくれるわけではありません。むしろ、全体にざっと目を通し、気になった候補何人かの選挙公報を重点的に読み込むという人の方が多いのではないでしょうか?
そうすると、細かい文字でびっしり政策やプロフィールなどを埋め尽くすよりも、メリハリのついた構成が大切です。
まず、選挙では候補者の名前を間違いなく書いてもらうことが最も大切なので、名前の記載は太く強い文字で記載することが大切です。次に目立たせるのがキャッチフレーズです。わかりやすく、耳に残るキャッチフレーズです。選挙カーなどで選挙区を廻るときにも使う言葉になるので、あらかじめしっかりと決めておきましょう。
3番目に、政策の柱や実績のポイントなど、3~5個程度の言葉を箇条書き、あるいは見出しとして配置しましょう。
最後に、政策や理念、プロフィールなどを小さい文字で記載します。小さい文字といっても小さすぎると「字が小さすぎて読めない!」と選挙公報を投げ捨てられかねませんので、新聞の文字と同じくらいの大きさにしましょう。政策やプロフィールを箇条書きにしてもよいですし、文章にして想いを伝えるのもよいでしょう。
「文章は短く、かんたんな言葉でわかりやすく」を心がけましょう。難解な専門用語を使った方が賢そうに見えるというのは大間違いです。難しいことをかんたんな言葉で表現する方がずっと高等な技術です。漢字やカタカナを使いすぎると、読み飛ばされる可能性が高いです。
一般的に箇条書きの場合は、ゴシック体の方が読みやすく。文章の場合は明朝の方が読みやすいとされていますが、デザインによってはこの限りではありません。
ポスターやチラシと連動し統一感あるデザインを
選挙期間中に有権者が目にする媒体は選挙公報のほかに、政策ビラ(2019年春より都道府県議会議員選挙や市議会議員選挙でも配布可能になりました)、ホームページ、そして掲示板のポスターなどがあります。
これらのデザインに統一感を持たせることが重要です。例えば候補者名の文字のフォントと色。選挙公報の場合は白黒ですが、ほかの媒体は色も統一すると有権者に文字としてではなく画像として焼き付きます。
ポスターや政策ビラ、ホームページなど全体のトーンが統一されていることで、選挙公報をぱっと見たときも、どの候補者のものか判別しやすくなるため、多くの候補者が並んだ選挙公報から読まれる可能性も高くなります。
統一地方選挙では、選挙ポスターと政策ビラは地元の印刷屋さん、ホームページは知り合い、選挙公報は候補者がパソコンで自作、という候補者が多い中、統一されたデザインで選挙媒体を作成すれば、印象度でほかの候補者から一歩リードすることができます。
政治情報サイト「政くらべ」を運営するiWac.jpでは、「政くらべ」への情報掲載はもちろん、ホームページの制作、選挙ポスターや政策ビラのデザイン、選挙公報のデザインなどを承っています。ポスターやビラの印刷は地元の業者で、デザインだけお受けすることももちろん可能です。
統一感のある選挙媒体で選挙に臨みたい方は、お気軽にご相談ください。