選挙で使えるポスターはどんなもの?規定を知ってフル活用しよう!

  •  2019年03月26日公開
  •  2019年04月3日更新

選挙といえば町中にポスターが貼られるのが一般的ですが、実はさまざまな規定があります。候補者に実際に会うことが出来ない有権者も多いのでポスターの影響力は非常に大きいといえます。そこで選挙におけるポスター作りのポイントと規定について解説します。これを知っておくだけで選挙でぐっと有利になる可能性があります。

政治活動用ポスターと選挙運動用ポスターとは?

政治家や候補者の名前や所属政党を周知するための有効な手段にひとつにポスターがあります。選挙期間以外でも、知名度向上などを目的としてポスターが用意されるケースは少なくありません。選挙期間ではないときのポスターについては政治活動用ポスター、選挙期間中の候補者を載せるポスターは選挙運動用ポスターとして明白に区別されています。

政治活動用ポスターは、現職の政治家や立候補を予定している人各人の政治活動のために使用される個人用ポスターと、政党の政治活動を目的として使用される政党等用のポスターに分けられます。

個人の政治活動用ポスターは、その候補者が立候補する選挙の任期6ヵ月前から選挙当日までの間、掲示することができないルールになっています。また、ベニヤ板やプラスチック板などで裏打ちしたものは認められません(看板との扱いの区別がつかなくなるため)。さらに掲示責任者と印刷者の氏名と住所を記載することが義務付けられています。

政党の政治活動ポスターは選挙前の掲示制限は特にありませんが、特定の個人名を大きくするなどした場合、個人の政治活動用ポスターとみなされる可能性があります。

選挙運動用ポスターは選挙期間中に該当選挙区の候補者を知らせるポスターです。選挙においては平等に行うことが重要となっているので、数や大きさには規定があります。選挙管理委員会から交付を受けた証紙貼ったものしか掲示することができないなど、資金力のある候補とない候補で不平等にならないように工夫されているのが特徴です。

選挙区内には公営掲示場が設けられ、有権者の方々はそこを見ればすぐに候補者の顔や名前を確認できるようになっています。

嘘を載せなければ、ほとんどなんでもアリ意外と緩い選挙ポスター

選挙ポスターは、選挙管理委員会の証紙を貼ったもので、選挙期間中に選挙区内の掲示板に掲示することができます。比例代表選挙については、候補者の数が多いため、掲示板を設置しないかわりに、指定された場所で施設の所有者に許可を得たものは掲示することができます(公職選挙法第145条など)。

規格は基本的には42cm×30cm以内であれば、形、大きさは自由です(※都道府県知事・参議院選挙区・衆議院小選挙区は個人演説会告知を加えることで、40cm×40cm以内のポスターにすることができます)。

よく見かける選挙用ポスターは縦長の者ですが、横長のものはもちろん、ひし形にしようが、丸くしようが、星形にしようが、規定の大きさを超えなければ形も自由です。

記載する内容も基本的に自由で、虚偽の事項を載せなければなんでもありなのです。

例えば、写真。バストアップの写真が一般的ですが、全身を入れてもかまいませんし、帽子を被っていても、サングラスをかけていてもOKです。覆面を被っていたってかまいません。実際、覆面レスラーのザ・グレート・サスケ氏は、岩手県議選で覆面を被ったままの選挙ポスターで出馬し、当選しています。公職選挙法という規定だけに限ってみれば、全裸のポスターでも公職選挙法違反にはならないのです(ただし、別の法律に抵触して掲示できないと思いますが)。

さらに言えば、写真自体を載せなくてもよいのです。候補者の中には似顔絵の選挙ポスターを掲示する人もいますし、文字だけ掲示しているという候補もいます。

ただし、必ず記載しなければならない情報もあります。掲示責任者と印刷責任者の住所氏名(会社名)です。ただし文字サイズなどの規定はなく、限りなく小さく表示している場合がほとんどです。

これほどまでに表現の自由が認められている選挙ポスターですが、実際には、貼られている選挙ポスターの大半は規定サイズギリギリの長方形となっています。規定の大きさをギリギリまで使いたいという考えがあるということでしょう。

たくさんの選挙ポスターの中で違いを出すために小さめで変わった形のポスターを用意するという戦略もありますが、奇をてらうと真面目さが伝わらないため、選挙では不利となってしまうという観点から、変形ポスターを作る人はあまりいないのです。

公示前でもポスター貼れる?!二連ポスターとは

公職選挙法では任期満了や解散から告示までの間は個人の政治活動ポスターを選挙区内に貼ってはいけないというルールがあります。これは告示のタイミングで全ての候補者が平等に選挙ポスターを貼るためです。

しかし、告示前であってもアピールをしておきたいもの。そこでこの規定に抵触せずにアピールを行えるポスターが生み出されました。それが二連ポスターです。

二連ポスターとは2人の弁士が載っているポスターであり、政党をアピールする部分を2割以上用意することで政党の政治活動用ポスターとして貼ることができます。政党の政治活動用ポスターには掲示時期の制限がないため、選挙直前でも貼ることができるのです。

ただ、政党の部分が2割を切ってしまったり、明らかに特定の候補者をアピールする目的で作られていたりした場合は規定違反となります。二連ポスターを作成する場合は確実に政党の部分を2割以上用意するようにしましょう。また、3人の弁士が載っているポスターの場合は三連ポスターと呼ばれます。

規定を理解すれば、認知度アップの大きな武器に

公職選挙の規定は非常に重要です。規定に違反した場合はその内容が仮に軽度であったとしても大幅なイメージダウンになる可能性があります。しかし、規定を過度に恐れすぎて上手くアピールできないという事態も避けなければなりません。規定のことを理解し、その中で最大限にアピールする作戦をとっていくことが選挙に勝利するために必要となります。

公職選挙法の内容は深く知られていない部分も多く、選挙に慣れている方でも規定違反をしてしまうことがあります。選挙に出馬する際にはその規定を確認しておくことはもちろん、公職選挙法など法律に詳しい方に相談しておくことをお勧めします。

ポスターについては規定をよく理解している業者に作成を依頼することが大切です。予算節約などのために自身で作成したとしてもそれで規約違反を起こしてしまったり、選挙運動の時間が減ってしまったりするのは本末転倒です。専門の業者であれば最低限の予算であっても規定に合った有効なポスターを作成することができできます。選挙戦の中では実際に会えない有権者の方が少なくありません。そういった方にアピールするためにもポスターの重要性は非常に高いといえるでしょう。