違反は罰金も?!選挙チラシを作製する前に規格を調べよう!

  •  2019年03月27日公開
  •  2019年04月1日更新

選挙においては、チラシやポスター、看板などは多数の有権者の目に触れる機会があり、知名度を上げるためにも欠かせない重要なものです。さまざまな工夫によってそれぞれの立候補者がアピールしていますが、それぞれ規格が存在するのを知っているでしょうか。ここでは、ポスティングや告示前配布の可否など、選挙チラシについて知っておくべき情報を紹介します。

選挙の種類によって異なるチラシの規定

選挙チラシやリーフレットの中には鮮やかな色彩を使ったり、顔写真の割合を大きく取ったりなど、さまざまな工夫を凝らし注目を集めるものもあります。しかし、選挙の公平性を保つためにも規格制限や規定が設けられていることが多く、注意が必要です。では、選挙チラシの規定はどういったものがあるのでしょうか。

選挙チラシは、国政選挙や首長選挙などの種類によって規定が異なります。もともと選挙用のチラシは国政選挙でのみ認められていましたが、2007年から首長選挙においても使用できるようになりました。さらに、2019年には公職選挙法の改定により、都道府県や市、特別区の議会議員選挙における選挙チラシの頒布が可能になりました。改定された公選法は2019年3月1日以降に告示される選挙から適用されます。

このため国政選挙や首長選挙だけでなく、2019年の統一地方選挙では地方議会議員選挙の一部でも選挙運動用のビラ頒布が解禁されることになりました。ただし、町村議選は対象外であり、選挙チラシの頒布は認められていません。

名刺はNG?!規格外は公選法違反で罰金も

選挙期間中に配布できる文書には厳しい制限があり、ビラの配布も禁止されていましたが、2019年以降は町村議会を除く選挙で選挙期間中のチラシの配布が可能になります。チラシ配布が解禁されたものの、そのサイズや枚数、頒布方法に関しては制限があるため、注意が必要です。では、どのような制限があるのでしょうか。

まずはサイズです。選挙運動用のチラシは「証紙ビラ」とも呼ばれ、そのサイズの規格は「長さ29.7cm、幅21cm」と定められています。このサイズはA4サイズと同じ大きさです。

用紙の向きに関しては縦横どちらでも問題ありません。両面使用できますが、種類に関しては2種類までと決まっています。サイズが決まっているため、名刺サイズのチラシは違反となります。また、名刺に選挙運動を想起させる文言を含めることも違反となるため、注意する必要があります。

選挙チラシの場合は、選挙に関する記載はもちろん可能で、原則として内容に制限はありません。万が一公職選挙法に違反した場合は、刑事罰や罰金などが課せられます。

ポスティングはできる?数量と頒布方法の制限

選挙運動では1人でも多くの有権者に名前や政治への思いを知ってもらうことが重要です。選挙チラシであれば、家庭の郵便受けにチラシを入れるポスティングを活用したいと考える方も少なくないでしょう。選挙用チラシの規格として、ポスティングは認められているのでしょうか。

選挙用チラシの頒布方法は、新聞の折り込み広告として頒布することが一般的です。ただし、一般紙以外のフリーペーパー紙の折り込みとして頒布することは認められていないため、注意が必要です。

また、街頭や個人演説会場など、演説会場での頒布を行うケースも多いでしょう。選挙事務所内に置いておくことも認められています。一方、ポスティングは認められていないため、注意しましょう。

では、どれくらいの枚数のチラシを配布できるのでしょうか。
2019年3月1日以降の選挙では、都道府県議会議員選挙は16,000枚、政令指定都市の議会議員選挙は8,000枚、一般市議会議員選挙は4,000枚の頒布が解禁されます。枚数内であれば、そのうち新聞の折り込み広告としての頒布や個人演説会場での頒布など、枚数の内訳は自由に選択可能です。

告示前(事前運動)にもチラシは配布できる?

選挙期間は決まっているため、告示以前から選挙活動をしてできるだけ有利に立ちたい、と思うのは、出馬する誰もが考えることでしょう。しかし、公職選挙法では告示前の選挙活動は認められていません。そのため、選挙運動用チラシの頒布は選挙運動期間中に限定されます。

しかし、告示前であってもチラシの頒布は認められるケースがあります。それは、チラシの頒布が「選挙運動に該当しない」こと、すなわち選挙の当落を目的とする行為ではなく、政治活動の一環としての頒布であれば問題ありません。

選挙用チラシの規格において、記載内容に制限はないとすでに述べましたが、これは選挙活動に関してであって、事前運動で配布するチラシの場合は、「選挙公約」や「清き1票」などの文言は選挙活動と見なされる可能性が高いため、記載すべきではないでしょう。政治活動で配布したチラシの文言によっては、ライバル陣営から選挙管理委員会や警察に公選法違反で告発される可能性があります。言葉の表現には十分注意する必要があります。

まずは選挙管理委員会に相談してみるのが確実!

2019年3月1日から施行される公職選挙法改定により、新たに地方議員選挙(都道府県・市区)においても選挙用チラシの頒布が解禁となりました。その理由として、「候補者の政策等を有権者が知る機会を拡充するため」であることが明らかにされています。

有権者に選挙公約や政策を伝える上でも大切な手段の1つと言えるでしょう。選挙用チラシの規格では、記載内容に関して特に決まりはないため、その自由度の高さが魅力です。さらに、選挙運動期間中だけでなく、告示前にも政治活動として頒布が可能な点も大きなポイントと言えます。

ここで注意しなければならないのが、事前運動は公職選挙法によって罰則が定められており、違反した場合は「1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金」が課せられることです。事前運動は禁止されていても、政治活動の範囲内であれば選挙前にも活動は可能なため、政治活動として文言を変えたチラシを頒布しようと考える方もいるでしょう。

政治活動と選挙活動の線引きは非常に曖昧なため、不明な点についてはまずは選挙管理委員会に相談してみるのが確実でしょう。