ネット選挙

日本でも18歳選挙権が施行!これからはネット選挙の時代が到来?!

  •  2018年04月1日公開
  •  2019年01月15日更新

2016年より公職選挙法が改正され選挙権が18歳以上に引き下げられました。これまでは若年者の投票率が低く、選挙結果が各世代の声を等しく反映していたとは言い難い状態でした。生まれた時からインターネットに触れてきた世代に選挙権が付与されたことで、これからの選挙のあり方も当然変化し、ネット選挙の時代が到来することが予想されます。

なぜ18歳選挙権が始まったのか?海外との比較

18歳選挙権が導入された背景には、2014年に憲法改正に関する手続きを定めた国民投票法の投票年齢が18歳以上になったことがきっかけで、それに合わせて選挙権も引き下げられました。

若い世代の政治参加を促し、日本の将来を担う若者の民意を政治に反映させることが期待されています。高校生を含む若い世代が政治や選挙への関心を高め、自分が国民の一人だという意識を早くに持つことで、民主主義をより健全で正しく実現させることができるはずです。

海外ではむしろ18歳から選挙権を与えることがスタンダードといっていいでしょう。

アメリカ、フランス、中国など9割の国では18歳で選挙権を持ちます。主要七か国G7では日本以外が18歳選挙権という状況でした。またインドネシアでは結婚すればその年齢に関わらず選挙権が与えられます。

選挙権を持つことで、大人としての責任を自覚することにもなり、成人の年齢も18歳となっている国が多いのです。政治家も若年者に向けた政策を掲げることが得票につながるため、日本のように若者世代に無理な負担をかける事態にもなりません。

選挙権=投票だけでなく選挙運動も参加可能に!

選挙権が18歳以上に引き下げられたことに伴い、選挙運動をすることも可能となりました。満18歳になれば、自分が応援する特定の候補者や政党を当選させるために活動することができるということです。

ただし、注意しないといけないのは、選挙運動は決められた選挙運動期間内でしか行うことはできないということです。選挙の公示日に立候補者が届出を出した時から投票日の前日までで、それ以外に選挙運動をすると公職選挙法違反となり、罰則が科されます。

選挙運動ではインターネットを利用する方法もあり、具体的には電子メールを除いたもので、ホームページの作成、ブログ、SNSでの発信、動画共有サービスや中継サイトを使っての配信などができます。

若い世代は日頃使い慣れたこれらのネットツールへの抵抗はなく、選挙運動もこれからは様変わりしていくでしょう。今までは候補者が各地を回って握手していましたが、ネット上で「いいね」ボタンを押して有権者と触れ合うことが若い世代にとっては握手と同じインパクトとなり、候補者の名前と顔を覚えるでしょう。18歳選挙権が導入され、これからインターネットでの選挙運動はさらに重要性を増していきます。

デメリットはないが課題はある18歳選挙権

18歳選挙権は導入してすぐの参院選は18歳の投票率は5割を超えていましたが、翌2017年の衆院選では投票率は5割を切りました。また、19歳の投票率、つまり前年に5割投票していた人々の投票率が33%と大きく低下していました。

これには、大学などに進学して地元を離れ住民票を移していない、周囲で投票に行く雰囲気がなかった、などの理由があります。周囲で選挙についての話題が出ない環境では、なかなか一人で選挙のことを考え、投票行動に移すことがまだまだ難しいのが現状です。

各地の高校では18歳の若者が選挙権を持つことに伴い、主権者教育が導入されています。

主権者教育とは、各個人が社会の出来事を政治の仕組みや流れの中で理解し、その上で自ら主体的に判断し行動できるように育てることを目的としています。自分が社会の一員であり、自分達の選んだ政治家の為政により社会が形作られ、その影響が生活に直結することを認識させることで、選挙に関心を持ち投票行動に向かわせることができます。

課題としては突然の解散などで事前の計画を立てることもできずに選挙になってしまうと、なかなか深い主権者教育ができないという問題があります。また、時事問題や政策に関しても過去の教材で対処することができず、教員の負担が大きくなっていることも問題となっています。

18歳選挙権がブームではなく地に足のついたものにするために、学校だけでなく家庭でも政治のことを話題にし、投票を日常に根差した行動にするための努力が国民全体で必要でしょう。

ネット選挙を駆使して投票率を上げよう!

18歳選挙権によって若い世代が参入することになった選挙運動において、ネットの重要性は外すことはできません。一つの動画やツイートの拡散力は無視できないものがあり、短時間で多くの有権者に自分の政治信条や理念、政策を訴えることができます。

もちろん短時間の動画や短い文で候補者のすべてがわかることはありませんが、若者世代にとって扱い慣れたツールで訴えかけることで、確実に投票行動へと意識を向けさせることができます。若い世代の政治参加への動機づけを、ネットを駆使して達成することがこれからの選挙の課題となります。

ただし、フェイクニュースや真偽のわからない情報に踊らされるのも若者の特徴です。現在では過去のネットの発言などが掘り返されて窮地に立たされることもありますので、ネット選挙活動にも細心の注意が必要なのは言うまでもありません。

ネットに親和性がある若い世代に届くキャッチ―で正確な情報を届ける必要があります。新聞を読まない若い世代にとって、ネットでの情報収集が主な判断材料であることを忘れてはならず、今まで以上にネット選挙活動に力を割かなければなりません。

18歳選挙権の次はネット投票の導入が検討か

18歳選挙権が導入され、インターネットでの選挙運動が可能になりましたが、ネット投票まではまだ行き着いていません。ネット投票で難しいとされているのが投票の正当性、秘密投票、非改ざん性でしょう。

これらを解決するために現在考えられているのが、マイナンバーカードによる本人確認と、ブロックチェーンと呼ばれるデータを暗号化して保存する技術を使って改ざんを不可能にすることです。現在実証実験が行われている段階ですが、ネット投票の導入は既定路線と考えていいでしょう。

スイスなど海外でも実証実験が進んでおり、日本でもまずはモデル都市での導入で成功例を作っていくことになります。

ネット投票が可能になればさまざまな問題を解決することが期待されます。低い投票率もパソコンやスマートフォンから投票できるようになれば改善するでしょう。また、遠くにいて投票を諦めていた人や寝たきりで動けない人、投票所までのアクセスがなかった人達の民意もくみ取ることができ、本当の意味で弱者の意見を反映できるでしょう。

他国のサイバー攻撃を防ぐことができ、安全で確実なネット投票のインフラが整えば、この国の選挙制度は根底からがらりと変わり、新しい民主主義が誕生します。今はその前段階の時期です。

現段階ではまだ、インターネットを活用した選挙運動は、それほど票につながらないいう見方もありますが、これから政治家を志す人、まだ5年以上政治家を続けていこうと考えている現役の政治家は、ネットを活用した選挙運動や政治活動をしっかりと学んでいくべきでしょう。