どのような業界であっても、インターネット媒体を使って情報を発信することは重要な要素です。世界各国の有名企業がインタネート媒体を使って製品や企業ブランドをプロモーションするように、政治家も自らの活動を積極的に発信すべきです。しかし、無策に発信しても意味がなく、戦略的なマーケティングが必要になります。そこで、政治家のホームページに必要な要素を議員の既存サイトを例に挙げながら紹介していきます。
かっこいい、おしゃれな政治家のホームページ5選
議員の資質や実績、政策などはさておき、ぱっと見の印象がよいホームページを5つほどピックアップしてみました。
政治活動よりも週刊誌報道などで話題になった、元SPEEDの今井絵理子参議院議員。
今井議員のホームページは、見やすいシンプルなサイト設計と統一感のある色使いで作られたものです。
今井絵理子参議院議員はSNSでの情報発信にも取り組んでおり、インターネット媒体を上手く使っています。ホームページを訪れた人が閲覧の目的箇所を迷わず見つけられるようなサイト設計です。
スマートフォンの普及にともない、ホームページの閲覧は、スマホでの閲覧割合が格段に増え、ホームページ制作は「モバイルファースト」が主流になりつつあります。しかし、政治家のホームページでは、未だスマホ対応していないホームページも少なくありません。
今井絵理子参議院議員のホームページは、スマートフォンの画面サイズにも対応したレスポンシブデザインです。
更新内容はブログやインスタグラムと連動させているようで、少ない労力で活動報告が更新できる仕組みになっています。また、芸能人らしく、取材用のお問い合わせフォームも用意されています。
約束と称された部分はスライドショーと短い言葉で、政策的なものが示されていますが、具体的なものは書かれていません。また、今井議員が国会議員になってからずいぶん経ちますが、未だに「Coming Soon」があったりします。
父は新党大地の鈴木宗男氏。ご自身は自民党所属の鈴木たかこ衆議院議員のホームページを紹介します。
鈴木たかこ衆議院議員のホームページは、写真が画面をすべて占めるように設計されており、閲覧内容によって画面が縦にスライドする構造です。珍しいデザインであるため、閲覧者の興味を惹くことができます。
インパクトのあるデザインですが、残念ながらスマートフォンには未対応で、また、政策はPDFにリンクしており、ホームページ上で閲覧できないのが残念です。さらに、年齢が選挙当時の28歳のままになっており、ホームページが更新されていないことがバレバレです。
鈴木たかこ議員と似たような構成では、小泉進次郎衆議院議員のホームページがあります。
こちらは、スマートフォンにも対応しており、プロフィール中心の構成。志は書かれていますが、なぜか政策は掲載されておらず、小泉議員らしいスマートなホームページです。スマートすぎるので、「5選」からは外しました。
野党の国会議員はどうでしょうか? こちらも女性議員からピックアップしてみましょう。スマートフォン対応をしているホームページのなかでも、構成面・デザイン面からも蓮舫参議院議員のホームページが秀逸です。
政治家のホームページは、自分の信念や政策、活動報告や実績など、伝えたいことが多いため、テキストが多めのサイト構成になります。テキストが多くなると、ややもすると読みにくいデザインになりがちです。
蓮舫議員のホームページは、ご本人のイメージカラーである「白」を空白として上手く使っており、すっきりしつつも、読ませるところはしっかり読ませるデザインになっています。初めてサイトを訪れた人でもストレスなく読むことができ、スマートフォンで見ても読みやすいホームページです。
日々の国会活動、政治活動はまめに更新されているのですが、政治理念や政策といったページがなく、どのような考えで政治をなさっているかは、普段の活動報告などをしっかりと読み込まないと理解できないかもしれません。
ここまでは、国会議員のホームページみてきましたが、地方議員はどうでしょうか?
原田りょう大阪府議会議員のホームページは、トップページに自身が行っているSNSやブログ、配信動画といったWebメディアへのリンクを配した構成になっています。
国会議員と違って地方議員は秘書がいないケースも多く、Webメディアも秘書任せというわけにはいきません。たくさんのWebメディアをすべて更新するのは、かなりの労力を必要とします。
原田議員の場合は、ホームページはプロフィールや政策・理念など基本情報はあるものの、ホームページ自体はほとんど更新せずに、各メディアへのリンクのハブとして活用しています。情報発信のリンクという役割に徹することで、逆にどのような活動をしている政治家かが一目でわかる名刺のような役割をホームページが果たしています。
スマートフォン閲覧には未対応でしたが、最近、統一地方選挙に備えてレスポンシブデザインを導入しました。選挙に備え、まだ任期があるにも関わらず、肩書が「大阪府議会議員候補」となっているところも、ホームページの更新はそれほどしないことを示しています。
かつて「美人すぎる市議」としてメディアへの露出も多かった八戸市議市議会議員の藤川優里議員。期数も3期と重ねており、アラフォーとなった今も、美しさは健在のようです。
藤川優里市議のホームページもご自身の画像が大きく使われています。ビジュアル重視の構成と、パステル調の色遣い、花や草木のオーナメントを配した見やすいデザインは、「政治家らしくない」見た目になっています。
活動報告なども写真のスライドショーになっており、閲覧者に伝えたい内容が明確です。レスポンシブデザインにも対応しています。
一般的に政治家は、有権者に自分の名前と顔を憶えてもらうために、トップページに顔と一緒に大きく名前を表示するのですが、「美人すぎる市議」で有名になった藤川市議は、もはや顔だけで十分なのでしょう。ホームページのヘッダー部分は「Fujikawa Yuri」とローマ字表記になっていますし、トップページは、動画リンクとFacebookのリンクに名前が小さく表記されているのみ。プロフィールにも「藤川優里」あるいは「藤川ゆり」の記載はありません。
政党で統一、テンプレート化されたホームページ
岩見沢市議会の斉須正友市議会議員と鹿嶋市議会の樋口富士男市議会議員のホームページを比較してみてください。まったく同じデザインですね。
政党や会派などによっては、ホームページの制作をサポートしている場合があります。例に挙げたホームページは、公明党のサポートを使い、テンプレート化されたホームページです。例で挙げたホームページは同じデザインですが、違うデザインのテンプレートもあります。
テンプレート化されたホームページを使うメリットは、簡単にホームページを持てることです。自身のホームページを持たないよりは、用意されたテンプレートでもホームページを持つほうが良いです。
テンプレートを使ったホームページにはデメリットが存在します。公明党を例に挙げると、テンプレートを使うと公明党のURLの直下に自身のホームページが作られます。いくら更新をしても発信した情報の価値の蓄積先は、公明党のホームページとなります。
また、閲覧者の注目を集めるサイトはオリジナリティのあるデザインであるため、用意されたテンプレートはできれば避けたほうが良いでしょう。
政治家にとって自分自身のイメージアップやブランディングは重要です。こうした観点からも閲覧者に伝えられるようなオリジナルデザインのホームページを制作すべきでしょう。
自身のホームページで活動報告や情報発信を行いことで、Webサイト上でのホームページの価値を価値を高めていくと、そこから発信される情報の価値も高まります。発信される情報の価値が高ければ、周囲に与える影響力や知名度を上げることに繋がり、政治家にとって大きなアドバンテージとなります。
デザインよりも内容!何を伝えたいのか?
インターネットがいつでも接続できる現在、有権者が政治家の名前を知り、興味を持ったときにする最初の行動は、名前を検索することです。そこで有権者が目にするものがホームページです。
ぱっと見た時のデザインが良くなければ、政治家に対する第一印象もあまり良いものではないでしょう。そのままページから離脱して、プロフィールや政策といったコンテンツまで辿り着かないかもしれません。見た目は重要です。
しかし見栄えばかりがよくて、中身が伴わなければ意味がありません。インターネット媒体での情報発信は、「コンテンツイズキング」とも言われ、内容がとても重視されます。どんなに優れたデザインを用意しても、内容が伴わなければ検索エンジンからも評価されません。
近年の検索エンジンはとても優秀で、検索エンジンはユーザーが求める情報に限りなく近いものをチョイスし、ユーザーが求める質の高い情報を持っているページを高く評価します。つまり、検索エンジンから評価されるということは有権者からも支持されるホームページということになるのです。
有権者にこの政治家のことをもっとよく知りたいと思わせるには、ホームページを訪れた人に何を伝えたいかを明確にして、情報を載せることが大切です。
万人受けするホームページを作る必要はありません。閲覧者全員の興味や共感を得ようとすると、内容が広く薄くなってしまい、結果的に支持を得にくいホームページになります。議員として発信したいこととホームページを訪れる人が知りたい内容が上手く被っている部分が大切です。しっかりとホームページの目的から逸れず、閲覧者のニーズに応えた内容であれば、閲覧者は増えていきます。
既存か?新規か?ターゲットユーザーを絞る
ホームページを作る際は、閲覧者を想定すべきでしょう。
既存の支持者と新規の支持者では、知りたい情報が違います。既存の支持者が求める情報は、議員としての基本的な情報はすでに知っているため、細かい情報や最新の情報です。
一方で、新規の支持者は基本的な情報が不足しており、大まかな情報も必要となります。ターゲットによって、発信する情報内容は変えたほうが良いのです。興味を持ってホームページを訪れても、関心のない情報ばかり押し付けられては、興味をなくしてしまいます。
後援会など、元からの支持者のためのホームページであれば、最新の活動報告や今後の予定など、より身近で具体的な内容を発信するホームページを作るとよいでしょう。テキストを多くし、たくさんの情報を伝えてください。SNSやブログと連動させて定期的に更新していくことが大切です。
新しい支持者を集めるためのホームページであれば、トップページはテキスト量を減らし、画像やデザインにこだわってください。まだ支持者ではない閲覧者は、長文や難しい内容を見せても読もうとしてくれません。まずは、大きな画像などでわかりやすいデザインにし、存在の認知を狙います。認知されれば、再訪問の可能性が生まれます。
情報を発信する際にターゲットを想定することはとても重要です。政治家として、どのような人に情報を発信したいか決めましょう。政治に興味がある人なのか、政治に興味がない人なのか、年齢層はどうかなどです。ターゲットの定まったホームページを作り、ニーズに合った情報を発信してみましょう。