インターネットでの情報発信は投票には繋がらないのか?

  •  2016年04月20日公開
  •  2018年01月15日更新

インターネットを使った政治活動をしていますか?

2013年4月の公選法改選により、インターネットを使った選挙運動が可能となりました。
以降、参院選、衆院選、統一地方選など日本は幾度か大きな選挙を経験しました。
現在では、多くの政治家が自身のホームページや、ブログ、facebookやTwitterなど複数のネット媒体を所有し、情報発信を行っています。

しかし、一方でインターネットでの情報発信は投票には繋がらないといった声も一部にはあります。実際、ネット選挙を経験した方は、ネットで情報発信をするよりも、地元まわりをして、有権者の顔を見て、話をして、握手をした方が、選挙では票に繋がると実感していることと思います。

それは、当然です。
なぜなら、ネット選挙の効果を実感できない人たちは、ネットでの選挙運動しかしておらず、ネットでの政治活動はしていないからです。

選挙期間、選挙区をかけずり回って勝利した政治家の皆さん、選挙が終わったら、有権者を無視しますか?
政治家の先生方は、どんなに議会が忙しくても、地元の方と触れ合う機会は大切にしていると思います。イベントがあればできるだけ出席もするでしょうし、議会報告会を開催したり、駅頭活動もするでしょう。国会議員の先生で、地元と遠く離れてしまっていても地元に残った秘書や身内の方が、しっかりと地域の有権者と繋がっているはずです。

ネットでの選挙運動にあまり効果を感じなかった方、以下のことに心当たりはありませんか?

  • ○選挙前3ヶ月以内にfacebookページ、Twitterなどを始めた
  • ○選挙期間以外、ホームページの更新ほとんどしていない
  • ○選挙期間にTwitterの発言が極端に増えた。ツイートは演説場所などの告知がほとんど
  • ○選挙期間以外にfacebook、Twitterで有権者に何も返さない

これらに一つでも当てはまる方は、ネットでの選挙活動はしたが、ネットでの政治活動を怠っている方です。ネット選挙もface to faceのアナログ選挙も一緒です。選挙期間以外の地道な政治活動こそが票に繋がるのです。

「あなたは現在、小泉純一郎元首相より影響力のある政治家ですか?」

今の日本でYesと答えられる方は日本には数えるほどしかいないと思います。Yesと答えられる方は、これを読む必要がないくらい、インターネットを使った政治活動ができているはずです。

首相退任からおよそ10年、今でも首相にしたい人ランキングで上位に入る小泉純一郎元首相。その小泉氏がTwitterアカウントを持ちました。2014年1月26日のことです。目的は、「脱原発」を掲げ、東京都知事選挙で細川護熙候補を応援するためです。
わずか2週間、32回のツイートで11万を超えるフォロワーを集めました※。

結果はご存じのとおり、細川&小泉という元首相の強力タッグにも関わらず、都知事選挙では舛添要一前都知事が2,112,979票で当選。細川護熙氏は宇都宮健児氏の後塵を拝し、得票数956,063票の3位。まさに完敗です。

短期間で10万人以上ものフォロワーを獲得できるほどの人物でも、選挙期間中にインターネットを使っただけでは有権者の理解は得られないのです。

ちなみに、舛添氏2010年6月よりTwitterをはじめ、1日の平均ツイート数は8.7回、宇都宮健児氏は、2012年10月に開始、1日の平均ツイート数は1.7回でした(2016年4月時点)。

※残念ながら、小泉氏は都知事選の結果が出た直後、2014年2月9日にTwitterを辞めてしまいました。もし、あのままTwitterを継続し、脱原発を訴え続けていたら、その年の秋の衆議院選挙や翌年の統一地方選挙の結果は違ったものなっていたはずです。

インターネットを使った政治活動は地道な駅頭活動と同じ

選挙期間(告示前の数カ月も含む)だけのわずかな時期だけインターネットを使って情報発信しても、有権者は「選挙前だけがんばっている」と受け止めます。駅頭活動や街頭演説、議会報告ビラを選挙間近にだけ配っているのと同じなのです。もちろん、やらないよりははるかにマシです。しかし、地道に継続することが手堅い票に結び付くのです。

駅頭活動といえば、民進党の野田佳彦元首相が有名です。1986年から始めた朝の駅頭活動は、総理大臣を経験した後も続き、現在も平日朝は船橋市のいずれかの駅で野田氏を見かけることができます。「継続は力なり」で、2014年の衆議院選挙のときでも、当時党首であった海江田万里氏や管直人元首相が小選挙区で落選(管直人氏は比例復活)する逆風の中、しっかりと小選挙区で勝利しました。

しかし、毎日駅頭に立つというのは、なかなか真似できることではありません。東京から離れた地方選出の国会議員であれば、国会会期中は物理的に不可能です。
しかし、ホームページやブログ、Twitter、Facebookなどインターネットを使って、有権者に毎日訴え続けることは可能です。これも、毎日継続するのは大変なことではありますが、毎朝駅頭に立ち続けるよりは遥かにハードルは低いはずです。

ホームページ、ブログ、SNS、など媒体の特性に合わせて情報発信を地道に行うことで、政策や理念はゆっくりと、しかし確実に有権者に伝わっていくのです。