参政権付与からはじまる18歳の法的成人化

参政権の年齢が18歳に引き下げられることになりました。これは一体何を意味しているのでしょうか。急な話だなあと思った人も多いと思います。実はこれは以前から計画されていたことだったのです。さらに話は参政権だけにはとどまりません。

とっくに期限の過ぎてる宿題

2014年6月に改正国民投票法が成立しました。実施は4年後の2018年となり、この年になると18歳から憲法改正の国民投票に参加することができます。
2015年6月には改正公職選挙法が成立し、2016年の夏の参院議員選挙で投票できる見込みです。

急に18歳の参政権が取り上げられるように見えますが、実は何年も前から検討されていたことです。

2007年5月に国民投票法が成立されました。
この法律の第3条では、法施行(2010年)までに18歳以上20歳未満の者にも「法制上の措置」をしなさいよ、とあります。さらに、この事は公職選挙法と合わせて検討しなさいよ、ともあるのです。

つまり以前からあった宿題を2014年から処理しているだけなのです。本来2010年にやるはずだったものを4年遅れでやっているという話なのでした。

未成年を取り巻く様々な流れ

2000年と2007年には少年法の年齢引き下げも行っています。
2000年代初頭には凶悪な少年犯罪が増加したため大きな注目を集めていたのです。

今回の事を受けてか、自民党は18歳を成人として扱い少年法の適用年齢を18歳未満にする提言を首相に提出しました。
少年犯罪の件数は減少しているのですが、社会の注目度は高いものです。こういった犯罪を国民の納得がいくように処理できれば、国は支持を集めることができます。

参政権の引き下げは少年犯罪の厳罰化の流れも汲んでいるようです。

嗜好品もたしなめるようになる

また、経済的な面で見ると成人用の嗜好品の存在があります。タバコや酒といったものを18歳以上20歳未満の約240万人が買えるようになれば業界の収益と税収は上がるはずです。

今でも普通に高校生がタバコや酒を買っているとは思いますが、合法となると話は異なります。企業は若者の嗜好へ合わせた商品を作るでしょうし、注目されている娯楽と手を結んでキャンペーンを行うことができるようになります。

18歳を成人として扱うことで経済的な効果を見込めるのです。

18歳成人化をコントロールできるのか

こうした観点から見ると、18歳以上20歳未満を上手くコントロールしながら経済活動に取り入れたいという狙いも見えてきます。同時にスケープゴートのような凶悪犯罪が起これば厳罰化で国は支持を集めることもできるでしょう。

しかしそうなると、もっと成人年齢を引き下げた方が良いという話も出てくるはずです。特に少年犯罪はインパクトの大きいものなので厳罰化の声は高くなります。
また「何で18歳はタバコ吸えて酒が飲めるんだ17歳が飲んじゃいけない理由でもあんのかよう」といった声も出てくるでしょう。

ここで国は「いや世界標準だから」と言えば済みます。国のリストを提示しながら「どこかで未成年と成年の区別はつけなければいけません。世界ではほぼ18歳となっています」とでも言えば話は終わりです。
いつもの「いや俺は知らんけどこうなってるから…」といった風に責任の所在をあやふやにできるのです。

上手くいかない場合には大変なことに

国の立場になって考えると、確かに18歳を成人とすることにはメリットが多くあります。ですがこれは全てが上手く行った場合です。

参政権を得て特定の学校が政治的に傾いた教育をしたらどうなるでしょうか。
飲酒による急性アルコール中毒や暴力的な犯罪が増加する恐れもあります。
また、厳罰化により服役年数が長くなることで受刑者の社会復帰が困難になり再犯率が上がるかもしれません。
世界標準が18歳だからというのは理由になっていない、という世論の声が何かの流れで大きくなったら政治不信は高まります。

18歳を成人とすることは諸刃の刃となります。最近の日本は諸刃の刃が全身に刺さっている状況なのですが、大丈夫なのでしょうか。

総合的な観点が必要

参政権を18歳に引き下げるということは18歳を成人とする流れの一端です。この流れは上手く使えば国にとって有利な状況になりますが、失敗すれば逆効果となります。

国は「とにかく参政権を18歳に引き下げてから色々考えてみようかなー」と思っているのでしょうか。
問題が発生してからではただ単に政治不信を引き起こすだけで行う意味はありません。熟慮を重ねて行動をしないのも良いことではありませんが、ある程度の問題の予想と対策方法は事前に考えるべきです。

この件は参政権のみならず、少年法や嗜好品関連を含めた上で進めるべき政策でしょう。
縦割り行政ではなく、18歳成人化についての取り組みという総合的な観点から進める必要があるのです。

飯田橋忠助

飯田橋忠助

30代男性、千葉県在住のライター。休日は近所のスーパー銭湯で汗を流す。サウナは8分で出たいが正直言って6分から苦しい。あんまり長いと立ちくらみを起こすので皆さんもお気をつけて。