平成27年の安保関連法案を巡る賛否(2)

疑問を感じる政府の思考

 

政府は自衛隊のリスクに変動がないといい、低減に努めると言うが、安全保障関連法案が成立すると自衛隊員が殉職するリスクが高まらないことはあり得ないし、当該法案を強行成立させても違憲審査の対象になり、高度の政治判断でも明白な違憲だから、裁判所が時の政府に忖度せず無効判断が下されるのではないか。

政治に関心も期待もしない国民が多いとはいえ、無関心をいいことに詭弁や欺罔を弄してはならない。そもそも憲法を改正しないで集団的自衛権の行使を解釈変更で容認することは問題視されてきた。実現可能性の高い、いわゆるお試し改憲をして、最後に九条等の改正に臨もうとするやり方への批判も尤もなことである。菅義偉官房長官のいう「論理的整合性と法的安定性が確保されている」という発言に疑問を感じない方がおかしい。

高知市のホテルで行われた憲法審査会

平成27年6月15日、四国内の国民に意見を聞く機会が高知市のホテル日航高知旭ロイヤルで行われた。憲法審査会である。

発言した公述人は、時間の制約(発言時間は10分)があって当日限られた時間内でしか発言できなかった。そこで以下は言えなかったこと、言及できなかったであろう安全保障に関する具体例を提示して、我が国の安全保障について考えてみることにしたい。

国連平和維持活動(PKO)協力法改正案・国際平和支援法案(国際平和協力)

安全保障関連法案では非戦闘地域を「現に戦闘行為が行われている現場以外」と定義した。
これでは従前の活動してきた範囲が広がる。当然自衛隊のリスクが高まると考えるのが普通である。それをリスクの軽減とか極小化するというのは甘いのではないかと思う。

邦人輸送中の米艦防護

日米安保条約により邦人輸送中の米軍艦船に対する攻撃があった場合である。
防護で済むとは思えないし、米軍の要請で集団的自衛権を行使すれば反撃される。そうすれば相手から再度の攻撃があり、それに対処しなければならなくなる。その反撃能力があるのか疑わしい。

米軍が自衛隊に助けを求めることも現実的ではないと思う。米軍が反撃に出るだろうから、自衛隊に余計なことをさせないのではないか。それに邦人の救出だから集団的自衛権の行使ではなく、個別自衛権の行使の対象になる。攻撃をした国に対する報復をすれば、今度は我が国の領土に攻撃が行われる。再度の反撃事態まで想定できるのだからそれにどう備えるのか考え、実際に備えておかなければならないことになる。

領海警備中の領海侵犯等

領海上における警備は不審船・工作船対策などで海上保安庁が監視警戒しているが、巡視船の数をはるかに上回る領海侵犯の船には対処できないから、体制の充実強化を図ることが必要である。
いわゆる有事ではないグレーゾーン事態に対処するための議論もあった。7月8日に提出された自衛隊に警備を補完させるよう要請することができ、自衛隊の部隊に対し、領海内に限定した警戒監視の措置を講じさせることができるとする維新の党及び民主党の領域等の警備に関する法律案は、海外派兵でなく、日本防衛のために活動する外国の軍隊を日米安保条約の当事国である米軍への武力攻撃に限定しているのだから憲法を逸脱しておらず、専守防衛に徹している。
これなら違憲ではないので賛成できるが、衆議院で強行採決された日(7月15日)に否決された。それは領海侵犯の漁船を拿捕することでは足らない緊迫化する問題の解決に迅速に対応することができるものである。尖閣諸島へ不法占拠した軍隊あるいは武装集団に対しては自衛隊が個別自衛権の行使として排除することが問題ではないのは明らかだが、自衛隊の装備が不十分なので私は不磨の大典である憲法の改正を求めている。

山川啓介

山川啓介

50代前半、独身、男。徳島県阿南市で小さな飲食店を経営し、自治体の委員や専門学校の非常勤講師をしている。安全保障やエネルギー、原発政策などに強い関心をもつ。