朝鮮危機で張り切る日本国内軍需複合体、いったい誰が潤うのか

朝鮮半島情勢が緊張している。それに伴い朝鮮半島近辺ではアメリカ・韓国・日本が空母や戦略爆撃機を動員しての大規模軍事演習を行っている。これに反発するかのように北朝鮮も負けじとミサイル発射や核実験をくり返す光景は何度も見てきている。

そんな中で軍需産業銘柄の株価は急騰し続けている。軍産複合体といわれる戦争渇望勢力が存在しているからだ。いったいこの勢力とはどのようなものなのか?

約8年間で株価が急上昇したロッキード・マーチン(米)

米トランプ政府はシリアにトマホークを撃ち込んだし、アフガニスタンには通常兵器最強の爆風爆弾「モアブ」を投下している。さらにベネズエラへは軍事介入を計画するなど、アメリカに逆らう者は軍事力でたたきつぶす姿勢を相変わらずしているようだ。

アジアを見れば朝鮮半島情勢が緊張するたびに軍需関連株が値を上げている。ステルス戦闘機やミサイル開発をしているロッキード・マーチン(米)ではリーマンショック後の株価は58.85ドル(2009年3月)と大きく落ち込んだが、2013年ころからは120ドル台となっている。2018年1月には330ドルを超え、約8年間で株価は5倍を超えた。

あの問題のオスプレイを製造するボーイング(米)も、2009年3月の株価は30ドル程度だったのが2018年1月では318.43ドルと8年間で10倍近い株価となっているのだ。

ほかにもここ4~5年間で軍需関連企業は株価を上げている。グローバルホーク(無人偵察機)を製造する会社、ノースロップ・グラマン(米)が約4倍に株価を上げ、イージス艦に搭載しているトマホークを製造するレイセオン(米)も約3.5倍、軍用ヘリを製造しているユナイテッド・テクノロジーズ(米)も約2倍になっている。そのほか、戦車を製造しているゼネラル・ダイナミクス(米)も約3倍といった具合でどこも絶好調といった感があるのだ。

軍需関連株急騰の動きを見せる日本

では日本を見るとどうだろうか。やはり日本企業も傾向は同じようだ。

一般的に軍事緊張が高まると戦争の危機が高まったと見て、経済活動は鈍化する傾向にある。その結果日本の株式市場全般はリスク拡大で株価は下がる。しかし軍需複合企業は活発になる。これは戦争を渇望する大資本の本音であり軍需関連株急騰の動きを赤裸々に映し出している。

例えば石川製作所(機雷や弾薬)・細谷火工(照明弾や発煙筒)の株価も2~3倍にはね上がっている。興研(防毒マスク)の株価も急騰している。豊和工業では自動小銃を作っているがそこも同じだ。

レーダー装置メーカーの東京計器もしかり、理経はJアラート(全国瞬時警報システム)の販売メーカーだが同様の動きをしているし、日本無線の株も上昇している。川崎重工、三菱重工、IHI、三菱電機、OKI、コマツや三井造船など軍需大手株などは喜んでいるはずだ。

今後は軍需大手企業の下請・孫請業者株に目をつける投資家も出てくるだろう。

過去5年間では中東とアジアの国々がマーケットの中心に

現在、武器輸入額が多いのは中東とアジア・太平洋地域だ。

2015年まではインドの武器輸入額がダントツに多かった。2016年はサウジアラビアの武器輸入額が何と世界でトップだ。その額は29.79億ドル約3,575億円)である。2位はアルジェリアで28.82億ドルだ。3位はインドの25.47億ドル・4位がイラクの17.34億ドルとなっている。

これらの国々に続くのがエジプトであり韓国でありアラブ首長国連邦となっていて、ベトナムやオーストラリアや中国と続くが、カタールも上位に入ることからテロや紛争の多い地域の国が大量の武器を購入していることが分かる。

2012年から16年までの5年間で輸入額が多いのは、インド、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、中国、アルジェリアとなっている。

上位5か国の武器の供給源となっているのが、アメリカとロシアの2大大国だ。

インド、中国、アルジェリアはロシアから武器を入手し、サウジアラビアやアラブ首長国連邦はアメリカから武器を輸入している。そのほか、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなども武器を供給しており、中国は輸入国であるとともに輸出国にもなっている。このように武器輸出大国が中東・アジア諸国に売り込みをかけ巨額な武器市場を奪い合っている構図がよく分かる。

アメリカの抜きん出た売上は世界の半分以上

ストックホルム国際平和研究所が毎年発表している世界の軍事企業上位100社を見ると、アメリカの企業が100社中44社を占め、44社の売上合計(軍事関係のみ)は2,380億ドル(約28.5兆円)にも上る。100社の軍事関係の売上合計は4,018億ドルで、アメリカ企業がおよそ6割を占めていることになる。

2位はイギリス(361億ドル)で、以下はロシア(305億ドル)、フランス(186億ドル)、イタリア(101億ドル)と続く。これを見てもいかにアメリカの数字が突出しているか分かる。

ちなみに日本企業は100社中5社がランクインし、売上合計は82億ドルに上っている。

近年、世界各国はコンピューター技術の開発に力を入れている。

開発競争が進んでいるのはミサイルの飛距離や命中率、戦車などの速度や性能など旧来装備の更新だけではない。本来は軍用機やミサイルを作っているノースロップグラマンやレイセオンもゼロディ脆弱性(ソフトウェアのセキュリティ上の欠陥で一般的に知られていないもの)を利用したコンピューターへのサイバー攻撃の研究を強化したり、コンピューター分野に力点を置いている。

北朝鮮のミサイル迎撃や核実験の阻止も結構だが表向きの顔と裏腹であってはならない。もし世界の誰にも気づかれないで各国のインフラ施設を破壊し「事故」に見せかける技術開発を本気で開発されたら恐ろしい話だ。

米国追従思想から一定の距離を置く考え

朝鮮半島の有事に備え日本は米国に守ってもらうのか? このまま対米追従強化を煽る論調は強さを増している。だが明白になったのは、日米安保は幻想でしかないということだ。

北朝鮮の核ミサイルが米国のシアトルやサンフランシスコまで飛んで行ける能力が報道されたからだ。

過激な意見として少しぐらい韓国や日本が犠牲になっても北朝鮮を今の段階で叩くべきという議論が米国にもある。これは、米国は日本を守るために米軍基地を日本に置くのではなく米国本土を守るためということを意味していると言えるだろう。

そろそろ真剣に思考停止的な米国追従思想から一定の距離を置く視点を変えた話し合いをする時期にさしかかっているのかもしれない。

参考:GLOBAL NOTE
参考:ストックホルム国際平和研究所

 

拳禅一致

拳禅一致

60代男性・既婚・岩手県在住・パート社員。大学卒業後は損害保険会社勤務。退職後の人生時間は好きな執筆活動に充てています。