大病院が遠くなる。初診料+5000円の理由

厚生労働省の中央社会保険医療協議会は2月10日午前、4月からの医療サービスの診療報酬の改定を決めた。
紹介状を持たずにいきなり大規模な病院を受診すると初診料のほかに5000円程度の費用が必要になる。なぜ病院から遠ざけるような施策を行うのかについて考えてみた。

なぜ病院を遠ざけるのか

4月からの医療サービスの診療報酬の改定が決まった。身近にある診療所やクリニックなどの小規模な医療機関の紹介状を持たずに大病院を初めて受診する場合、初診料とは別に5000円以上の定額負担を求める制度と、病院前にずらりと並ぶ「門前薬局」を見直し、薬局にかかりつけ機能を持たせる新たな制度導入すると東京新聞は2月10日付夕刊で伝えている。

現在も、中規模以上の病院(200床以上)に紹介状無しで診察を受けると初診時保険外併用療養費としてと医療機関が定めた料金を納付しなければならない。
ただしこれは義務ではなく各医療機関の裁量に任せられているが今回の中央社会保険医療協議会の答申では現行の制度を一律5000円に義務化するものだ。
では何故このように患者負担が増えることを行う必要があるのか。

その狙いは医療機関の役割分担にある。中小の医療機関では軽い程度の病気の診察にあたり、重症な病気は設備の整った大病院で治療を行うことによって医療の効率化・医療従事者の負担の軽減が目的になっている。
実際ある病院の勤務医の勤務実態と言うとAM7:00から病棟の回診、それを終えて外来の診察・書類の作成等をおえPM9:00に帰宅。翌日AM3:00に病棟患者の様態の変化により呼び出しを受けAM4:00までっ処置を行い軽く仮眠した後またAM7:00から通常の業務を行うと言ういった具合だ。
一般の民間企業であればブラック企業と言われても仕方ない状況だ。
このような医療従事者の過重勤務を抑制すると共に現存する医療インフラの更なる活性化を行うために5000円以上の定額負担を求めることには一定の意味のある施策であると思う。

健康保険制度の状況と求められるすがた

医療に対する患者の意識の変化を求めるのであれば医療行政の根幹である健康保険制度の活用もよりいっそう意味のあるものにしなければならない。
ご存知の方は多いと思うが、わが国は世界に誇れる皆保険制度を実施している国である。
皆保険制度とは、会社員は健康保険組合か全国健康保険協会が管掌する制度に属し、自営業や無職である人は市区町村が管掌する国民健康保険制度に属し国民全員が社会保険制度の恩恵を受けれると言う制度だ。

この健康保険制度も財政的には非常に厳しい状況におかれ、健康保険組合の解散が相次いでいる状態である。
平成26年のデ-タによると赤字計上の健康保険組合は全体の約8割に及び健康保険組合数は平成19年は1518であったのに対し平成26年は1410と年々減少が続いている状況だ。
医療費の動向に目を向けてみると平成22年度は36.6兆円であるのに対し平成26年度は40.0兆円に増加している。
この数字が今後減少することは少子高齢化の進展により難しくむしろ増加することが予想されている。

このような医療費の状況・健康保険組合の状況を考えると、これからは一人一人が大切な国民皆保険制度である健康保険制度・国民健康保険制度を守っていくと言う意識が必要になってくると思う。
世界に誇れる皆保険制度を守り維持していくと言う意識が高まれば、タクシー代わりに救急車を使うというような医療インフラの無駄使いを抑制していくことが出来ると思う。
また、医療材料や薬剤も医療費の抑制を行ううえでは見直す必要に駆られるかもしれない。
現在の医療機器・薬剤は大多数が非常に高度な技術により作成され、病気に対しても大きな効果をもたらしているのだが、中には何で健康保険適用になっているのか、病気に対してどのような効果があるのか分からない医療機器があるのも事実である。

白血球除去フィルタ-と言うものを取り扱っていたことがある。これは、輸血時に白血球を除去して輸血時のリスクを防ぐと言うものだった。
健康保険適用商品で、適用疾患は白血病なのだが、当然ながらこのフィルターを使用したからといって病気が改善されるものではない。
簡単に言うと輸血時に輸血をされる患者が熱を出すのを防ぐものと言うものだったが、使えば確実に熱が出ないと言うものでもなかったのだ。

健康保険適用医療機器といっても病気を直接治す目的ではない医療機器も存在する。
このような病気自体に対しては効果が薄い医療機器などは今後もう一度その効果を検討し健康保険で賄うべきものかどうかについて検討を重ね、医療費の増大が見込まれる財政状況の中でより効率的な運営が求められる時代になりつつあるのではないかと思う。

竹田太郎

竹田太郎

40代、男性、大阪府在住、自由業。社会保険労務士資格取得し開業に向け準備中。労働・社会保険関係に興味があり特に世代間格差に注目している。

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