議員辞職表明のイクメン不倫議員で考える日本人の政治意識とその課題

宮崎謙介衆議院議員の育児休業発言が出たのは2015年のこと。しかし、毎日起きる数多の事件事故の中で、当然のように国会議員の育児休業の是非に連なる話題も、宮崎議員の名前さえも私の中では記憶の彼方に飛んで行くかに思えた。
そこへ飛び込んできた不倫騒動で、芸能ゴシップ並みの存在として再浮上したのだった。

賛否両論の背景にあるのは日本人のお上意識か

まず、国会議員が育児休業を取ることが良いのか悪いのか。この判断は簡単なものではないだろう。
報道ではややもすればセンセーショナリズムに流され、両極端な意見が紹介されやすい。不倫当時妊娠出産中の妻も国会議員であり、話題としては申し分ないのだろう。
「税金で食っている国会議員が育児休業など言語道断」とするものと、「国会議員が率先して休まなければ、こんな制度は絵に描いたもち」と言うものだ。
両方の考え方には、それぞれ共感できる部分がある。まさに、国会議員だからこそなのだ。

実は、ここに政治に無関心と言われる日本人の、政治に対する基本的なスタンスが表れていると私はみている。
つまり、国会議員(官僚まで含めても差し支えはないだろう)に任せきりの政治感覚だと。
語弊があるかもしれないが、日本人には「お上」という単語がしっくりくる。意識するか無意識かの違いはあるにせよ、政治・行政というものは雲の上でやるものであり、自分たちはその結果に従うかその果実を享受するものという感覚である。
だから、気に食わなくても表立った行動はしない。ぶつぶつ文句を言って、そのうち選挙にも行かなくなる。それでも腹に据えかねることがあれば、ちょっとだけ叫んでみる。そんな風に思えてならない。おらが町の大臣様の時代ではないのだが。もちろん、戦後60年以上が経過して、民主主義や国民主権という概念は知っている。
しかし、だからといって自分が主権者なのだという意識までしっかりと持てているのだろうか。選挙に行って投票するだけでなく、主権者の判断を示せているか、自戒をこめて考える。
もし、代議制にかこつけて他人任せにしているとすれば、それは国民と歴代の政治家両方の責任である。
どちらも同じ日本人なのだ。役割分担という美名の下で、なあなあでやってきた結果ではないのか。そろそろ本気を出そうよ、ニッポン人。

育児休業ももっと議論されるべき話題

さて、話を宮崎議員と育児休業の問題に戻そう。賛否両論ある国会議員の育児休業の是非を、はっきりと白か黒かで片付けるのは乱暴に過ぎる。
絶対的にとってはいけないものでもないだろうし、無条件にとれるものでもないと思う。そこは特殊な立場だから、時期が重要なのは仕方あるまい。
時期をはずすと育児休業の意味がなくなることもあるだろう。ケースバイケースとはこういうときに使う言葉なのかもしれない。どちらにせよ、国民的議論を展開するものひとつの手である。

日本国民は、それがどんな話題であろうともっと議論すべきだ。この件はひとつのきっかけになり得ると考える。
何も言わなければ政策に反映されることもない。それが政治の現実ではないか。
ちなみに、男女共同参画社会の実態がどうであるかといえば、厚生労働省発表の数値によると、民間企業における男性の育児休業の取得率は平成25年度で2.03%。その2年前には2.63%だった。伸び悩みがみてとれる。
しかも、2.63%の年の国家公務員の取得率は1.80%となっている。

問題の本質を整理しなければ下世話な話で終わってしまう

我々国民が注意するべき点として、ひとつひとつの事象を分けて考えられるかということがある。
今回の騒動で言えば、育児休業の問題と不倫スキャンダルだ。これをごちゃまぜにすると、ピンポイントで話題を消したい勢力、または潰したい勢力にスキャンダルを利用されかねない。お任せ民主主義ではそうなる危険が大きいと感じる。

正常な議論の結果として育児休業が駄目だというのは健全であるといえる。しかし、不倫の悪いイメージで塗り潰すようなことがあってはならないだろう。
メデァイが不倫不倫と騒ぐのが良いことなのか、疑問が消えないのである。育児休業を取ると言った国会議員の人となりと、国会議員の育児休業はまったく別の話である。
それを頭の中だけではなく、現実の議論で確認する必要があることは間違いないだろう。

いま、この瞬間に事実関係を認めた宮崎議員の辞職表明のニュースが入ってきた。これにも賛否両論あるだろう。
しかし、騒動の発端となった本人としては、これが一番妥当な結論かもしれない。少なくとも、国会議員の育児休業問題がピンク色に染められる懸念は小さくなったといえるのではないか。
この一連の騒動は、まだしばらくは尾を引くと思われる。そして、これを契機に日本人の一人として、雰囲気に流されない心構えが大事であることを再認識したいものである。特に、政治の話においてはである。

浅川こうじ

浅川こうじ

50代前半、男。兵庫県在住。東京の大手企業本社企画、中堅企業の営業課長級などのサラリーマン生活を経て、個人事業を開業。現在は、多分野でライター活動も行っている。