国民みんなの景気回復は可能なのか?

東北震災の激動を経て安倍政権になって以降、アベノミクスにより円安が進み、株価は上がりました。景気は確実に回復しているという政府側のアピールを毎日聞きますが、多くの方はその実感が沸かないのではないでしょうか?

なぜ景気回復の実感がないのか?

2000年より以前の日本であれば、株価上昇は景気回復に直接的に結びついていたでしょう。しかし、株価が上がったといっても、それは株式市場に上場している大企業の話ですね。
つまり、株価の上昇は必ずしも国内企業全体の景気アップを表しているとは言えないわけです。

日経平均株価の対象となるような大企業で働いている人たちというのは労働者全体の10%以下で、それ以外の労働者は中小企業に勤めています。つまり、株価が上がっても90%の人たちの会社にはあまり関係ない話ということですね。

それどころか、大企業はこれまで続いた不景気の中でコストカットを徹底的に進め、下請けの中小企業の請負条件を厳しくしても、ここ最近で景気回復したからといって下請条件は改善されません。
なぜかといえば、大企業は一旦コストカットで確保したおいしい調達環境をしっかりと握り、身内にしっかりと蓄えをしておくように動いているからです。

株価が上がっても、業績が回復しても、その恩恵を受けられるのは自社の社員までです。
下請には厳しい発注条件を続けておいて、できるだけ内部留保を増やしておきたいと考えるのはむしろ自然なことだと思います。
このような流れでは、下請企業は受注量は増えることはあっても、厳しい契約条件の下で利益率が悪いままなので、基本的な経営環境は悪いまま。90%の労働者は恩恵を受けられないわけです。

非正社員の待遇は変わらない

中小企業であっても正社員ならまだ良い方でしょう。少なくともベースアップやボーナスの可能性はありますし、何より会社が倒産する不安がないだけでもマシです。
しかし、今は派遣社員や契約社員が多いのが実情です。規制緩和で一気に増えた非正規社員ですが、株価が上がったから彼らが正社員になれるわけではありません。

ここでも中小企業の下請環境と同じ論理が働きます。つまり、会社が一度手にしたコストカット体制を維持したいという心理が、雇用環境改善の足かせになっているのです。
経営環境が悪くなった時に備えていつでも解雇できる非正規社員は、会社にとって大切な保険です。

最近では、人材不足による正社員採用の動きも出てきていますが、需給条件のマッチングがうまくいっていないのも現実です。
新卒採用市場は良くても、現役世代の正社員化はなかなかす進まないのが現状です。このように雇用環境の改善が国民全体レベルで進まないので、景気回復が一部の労働者に偏っている状態は生まれています。

再び起こるかもしれないバブル崩壊や、財政破綻の不安

市民レベルで景気回復の実感がないのに、株式市場だけはどんどん上がっている。このような何となく地に足がついていないような状態に違和感を覚えている方も少なくないと思います。
特に40代以上だと、80年代のバブル崩壊や、その後のITバブル崩壊、リーマン・ショックが頭の片隅から離れないのではないでしょうか?

これまで政府が目指していた内需拡大による堅実な景気回復が進んでいるようには思えないのに、マネーゲームの世界だけが先行しているようなよ予感。
そして、そろそろ限界を迎えていると言われ続けている中国経済。NISAのような投資マネーの積極導入で国民の財布の中身を徹底的に市場に流そうという違和感。
そして、なによりも財政不安が景気回復の妨げになっていると思います。

慢性的な財政赤字体質は変わらないどころか、目先の税収アップに踊らされて財政支出が増えている現状。堅実に国債を減らしていく方向性は何も見えずに、借金が膨らむ一方では、若い世代ほど将来への失望感が強くなります。
多くの不安要素を抱えた現況に再度のバブル崩壊の危機感を抱き、いずれにしても財政がいつか行き詰まると予感している市民は、消費に対して消極的にならざるを得ない部分があるのではないでしょうか。この部分を解消しない限り、真の景気回復は望めません。
「敵は政治不安にあり」だと思います。

植野ひなた

植野ひなた

30代後半、男性、島根県 建設技術者として全国の現場を転々こなしています。妻、子ども2人と、親兄弟とともに賑やか暮らす7人家族です。

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