徴兵制は来るの来ないのどっちなの?

徴兵制復活なんて言葉を目にした事があるかと思います。最初に見たときは当然「ええマジで?」となるものです。しかしこれはよくよく考えてみるとキナ臭い話と言えます。果たして本当に徴兵制は敷かれるのでしょうか。

きっかけは誤報から

まず言いだしっぺは誰なのかを見てみましょう。

近年の徴兵制についての話題は、共同通信の2010年3月4日付けの記事『自民党、徴兵制を示唆』が発端となったと考えられます。自民党の会合における論点を引き抜いて推測した結果、こうした報道を行ったようです。

自民党の大島理森幹事長が「これは誤解ですよ」というコメントを発表したことでこの件は誤報として収束しました。
注目を集めるネタなので報道してしまったのでしょうか。
また、2010年3月12日付け石破茂氏のブログには『私は現在の日本において徴兵制をとるべきではない』という記述があります。

これだけ自民党の議員が否定しているにも関わらず、徴兵制になるかもしれないという論調は後を絶ちません。
何故なのでしょうか。

不安を煽って調理して

この議論には明確な根拠が無いのです。上の誤報が注目を集めた理由は人々の漠然とした不安を煽ったからです。

普通、私達は現在の国防の状況を知りません。
自衛隊の人数や国防費、人員が欠乏しているのかどうか、機能できているのか、緊急事態にはどういった働きをするのか。
こうしたことを明確に答えられる人というのは限られています。そういった知らないことについて強制的な力が働くかもしれない、と言われれば誰でも不安になるものです。

また、この件には他に刺激的な要素も含まれています。
それは「老人が若者をいじめてる!!!!」というものです。

【石原都知事:「日本は核を持て、徴兵制やれば良い」】で検索をすると分かるかと思います。石原元都知事は恐ろしいですね。

しかし2012年10月25日付けの石原知事緊急記者会見の議事録にはこうあります。
記者が「万が一総理大臣になった場合、形を変えた徴兵制や海外青年協力隊(へと若者を送り出すこと)は新党の政策にするか」と質問しています。まどろっこしい言い方をしてますね。
それに対して石原氏は「私個人の意見では若者を2年間ほどそういったところで経験を積むと良いと思う。しかし仲間や政府の意向があるし、そもそも私が総理になることはありませんから」と述べています。

つまり、記者がこねくり回した質問に対して石原氏は個人的な意見を返したに過ぎません。
いわゆる「なあお前アイドルと結婚したらどうする?」「ええ?まあ毎日デートしたいよねー。つか結婚できねーし」と同じレベルの話だったのです。

明確な根拠の無い不安を煽るネタに、老人による若者いじめという調味料を振りかけたらエグい食べ物ができました。
徴兵制の話題は単なるマスコミの遊びだったのです。

経済的な面から徴兵制を見てみると

こうした下地がある中で、集団的自衛権が話題に上るようになりました。
「集団的自衛権」というのも日常とは乖離した言葉なので分かり難いものです。
分からないまま徴兵制と集団的自衛権という言葉を受け入れると、両者を結びつけて不安に陥ってしまうのも当然です。当然注目を集める問題なのでマスコミは煽り続けます。

こうなるといくら集団的自衛権を提唱した自民党が「徴兵制は無いって!」と言っても受け入れられなくなります。
しかし本当に徴兵制にはならないのでしょうか。経済的な観点から少し考えて見ましょう。

徴兵するということは給料を支払うことになります。日本の戦時中に徴兵された方達は給料を貰っていました。無給で言いなりになる奴隷のような立場では無かったのです。

徴兵されると住み込みで働くことになるのですから衣食住は補償されます。仮に15万円程度と考えるとどうなるでしょうか。
衣食住を提供し、恐らく保険にも加入することになるはずです。そうすると徴兵にかかる1人当たりの額は20万円を超えるでしょう。
100人徴兵すれば2000万円になります。

2015年の総務省統計局が発表している人口推計によると、20歳から24歳の男性の人口数は321万人となっています。
兵役に従事する期間を2年として考えると、徴兵されるのは321万人÷2=160.5万人となります。
160.5万人×20万円×2年=6420億円が必要となるのです。
もちろん戦時下であれば期間など関係無いのでどんどん費用は嵩んでいくでしょう。

あなたが指揮官だったら使い物になるかどうかわからない兵士を大金を払って用意するでしょうか。それより戦闘機を製造して訓練されたパイロットに使って貰いたいと思いませんか。

徴兵制というのは考えていけば非現実的なことが分かります。
今回は経済的な面から見てみましたが、実際の作戦から見ても途轍もない非効率な事態が予想できます。一体徴兵された兵をどうやって輸送してどういった道具を持たせどういった任務に就かせるのでしょう。
つまり「徴兵制が来るかも」なんてのは無駄な不安にしか過ぎないのです。

正確な情報源を元にして考えていくべき

徴兵制について見てきました。

これはマスコミが金を稼ぐための妄言でしかありません。不安に思っているなら具体的に想像してみましょう。矛盾点があちこちに見えてくるはずです。

徴兵制の話題というのは、元を正せば政治家の発言を歪曲したネタでした。もし何かキナ臭い話を耳にしたら、その政治家の発言内容を見てみると良いでしょう。上で述べた石原氏と記者の問答を見るだけでも馬鹿馬鹿しいことが分かります。

現代ではこういった一見分かり辛い言葉が多用されているので、妙な不安を煽る材料はたくさんあります。
惑わされないようにも正確な情報源を当たることが肝心となります。

飯田橋忠助

飯田橋忠助

30代男性、千葉県在住のライター。休日は近所のスーパー銭湯で汗を流す。サウナは8分で出たいが正直言って6分から苦しい。あんまり長いと立ちくらみを起こすので皆さんもお気をつけて。